もうちょっとだけカミングアウト。

あんまりレズビアンというアイデンティティで生きてこなかった30代レズビアンが、もうちょっとだけなにかしようと思って書きはじめたブログ

はじめに。~ もうちょっとだけカミングアウト、しようと思った理由

30代半ばくらいのレズビアンです。

レズビアンである以前に、会社員です。

 

そんな感じで生きてきました。

仕事がとても好きなのです。

ざっくり「アート」とぼかしておきますが、好きなものを作ったり宣伝したり、

売ったりする仕事をしています。

勤続まもなく10年になります。

もちろんモチベーションの波とか、斜陽業界ゆえの悩みとか、色々ありますが

そこそこ自分の力で考えて、動こうとしている方だとは思います。

業界はちがいますが、零細出版社の社員さんが、

いちばん境遇としては近そうです。……たぶん、お給料の上でも。

でも、東京のそれほど賑やかではない場所で、独り暮らしをして、

たまには海外旅行に行けるくらいなので、ワープアというわけではありません。

 

恋人がいます。ジャンルはちがいますが、やっぱり

「ざっくりアート系」の界隈のひとです。

お互いの仕事にかかわりあるデートをするのが好きです。


リア充だという自認はまったくありません。

学校のクラスではつねに「おとなしいグループ」のひとりでしたし、

いまでも区分すればそうなるでしょう。

10年前に「Lの世界」というドラマが一世を風靡しましたが

あのはなやかなりし群像劇のなかにキャスティングされるような

タイプの人間では到底ありません。

 

ただそれでも、かなり恵まれている方だという自覚はあります。

ちゃんと自覚しなきゃ、と思っています。

ちょっとした誤解や溝やズレはいろいろとありましたが、

どうしようもなく差別的なひとに出会ったことはありません。

傷ついたこともそんなにありません。

 

傷ついたことがないのは、傷つくような状況に

積極的に身を投じなかったからだとも思います。

わたしはむやみやたらなカミングアウトは避けて生きてきました。

それでよかったと思います。

若い時間を乗り越えるための適切な戦略だったと思います。

「自分がセックスしている対象について

いちいち世の中やまわりにアピールする必要なんてないじゃない」

20代の頃はそんな風に考えていました。

レズビアンであること。

その自覚こそあれ、自分のなかでのアイデンティティの順位を

できるだけ下げようとしてきたので、

他のことに気を回し、エネルギーを捧げる余裕がありました。

 

ただこの数年、Lを含むセクシャルマイノリティ

急速に社会的に容認されていくなか、

あるいは同世代の友達が結婚、出産をして

新しい社会のステージに飛び出していくなか、

 

20代の頃のひねた理屈は、少しずつ畳みはじめなければ

ならない年頃になったかなと思い始めました。

当たり前だけれど、友人たちは、なにも

自分がセックスしている対象についてアピールするために

子どもをつくり育てているわけじゃない。

だとすればわたしにとって、レズビアンとしての

ほんとうに望む生き方は何だろう。

それは全方位に対して伏せておかなければならないものでもないはずだ。

 

そんな風にちょっとずつ思い始めました。

 

実は書きたいことがどれほどあるのか自分にもわかりません。

ただ、しゃべりたい欲望が、以前と比べるとだいぶ出てきた。

そう感じてはいます。

どう転がるかはなんともいえないけれど、いつもは表に出すことのないわたしを、

思いつきがてら書き留めていければ、と思います。

 

このブログを自分にとって心地のよい場にしたい。そんな願いをこめて。